とっても面白い経験をしました。
SNSにある投稿がありました。「信号待ちのときに、前の車がちょろ、ちょろっと少しずつ前進するのはとってもイラつく」というもの。コメント欄にも同意する声がたくさん載っていました。私はそんな現象を気にも留めていなかったので「どうしてイラつくいたのんだろう?でもみんなイラつくのだから理由があるのかな」って、不思議に感じてスマホを閉じました。
そしてその日の夕方におきたこと・・・。
車で信号待ちしているとき、前の車がちょろ、ちょろっと動きました。「あ、これか!」と思った瞬間・・・イラッとしたのです。これまで長いこと運転してきて一度も感じたことがなかったのに、イラッとした。つまり「ここはイラっとする場面ですよ」と教えられると、私はちゃんとイラッとしたのです。
私は喜怒哀楽があると、心臓の鼓動が早まります。ドキドキするので感情の変化を物理的に気がつくことができます(これはちょっと便利)。このときは心臓がドキドキしたので、本当にイラッとしたのでしょう。でも考えてみればイラッとする必要はありません。前の車が少し動いても自分は動かなければ良いだけです。さらには車間距離が増えるので安全だし、スタートのときに加速もしやすくなります。どっちかというと良いことの方が多い。だから頭の中ではイラっとする理由はなかったのです。
思えばSNSで増幅される怒りって、こういうメカニズムになっているのだと思います。「あなたはここで怒るべきですよ!」と言われると、頭は「意味ない」と思っても、体はちゃんとイラッとする。それがネットワーク効果もあいまって増殖していくのでしょう。これは気をつけたい。
人は、隠れた事実を知って怒りが収まることもよくあります。「ああそうだったのか」と知ってすっと怒りが消えるパターンです。でも逆に、理屈では意味がないと知っていても、怒っていると知識として知った瞬間にでっち上げられる怒りもあるのですね。これは知っておきたい事実です。何かにイラッとしたとき、怒りを抑えられなかった時、「変な情報にコントロールされていませんか」と問うてみたいと思います。
ちなみに、この前の車がちょろちょろとした時のイラッは程なくして消えました。捏造と気がつくとイラッ効果は長くは持たないようです。このコラムを読んだ方が、ここで変な知識を得たことで、これまで感じていなかった前の車のちょろちょろのイラッを感じてしまうことのないように・・・。

2025年9月21日
アストロライフ合同会社 代表
丹羽雅彦