自民党初の女性総裁が誕生しました。このまま順調にいけば初の女性首相の誕生です。とてもめでたい。インクルーシブな社会を作るための活動をしている私にとっても嬉しく、追い風のように感じます。日本の社会全体も「何かを変えてくれそう」と期待するムードが高まっているようです。高市さんはおしゃれですし、ユーモアのある方ですので、そういう意味でも世間が明るくなりそうです。
総裁就任挨拶での「ワークライフバランスを捨てる」「馬車馬のように働いていただく」発言は、予想通り問題視する声が多数ありました。活字にすると激しい言葉ですが、動画で就任の挨拶を見る限りは総裁選に勝った直後の高揚感から出た発言のようで、それほど問題がないように思います。もともと言葉に個性がある方なので、決意が見えない新総裁より良いですね。
それでも私はちょっともやもやしました。最初は「一国の首相になる人の発言ではない」という気持ちかなと思ったのですが、どうもそうではない。もやもやの原因が何かと自分の感情を深堀っていくと、あることに気がつきました。それは自分に向けた感情です。
最近になって私は働き方を変えました。詰め込みすぎないのと、睡眠をしっかりとることです。そう言うと私の働き方を知っている知人からは「もともと働いているか遊んでいるか、わからなかったじゃないか」と笑われそうです。私はいたって真面目に働いているつもりなのですが、周りからみると遊んでいるようにしか見えないそうです。それでも、ワーク側では仕事のスケジュールはぎっしり詰め込み、ライフ側の週末も遊ぶ予定をぎっしりいれる生活を数十年送ってきました。
しかし、最近、ゆとりを持たせることで感じたのは、
「余裕があると、いろいろ考える」
ということです。創造性も高まった気がしています。ぎっしり詰め込むとどうしても「こなす」仕事で一日を終えることが多くなります。そして疲れて寝てしまい、また翌日もひたすらこなす。そうする間に、どうやら感受性や創造性が失われていたようです。でもいまはたくさん考えるし、仕事のアイデアも増えてきました。詰め込まない効果を感じます。
一方でこれまでに「夢中になって寝食を忘れる」ということもありました。そんなときは良い仕事ができていた実感がありました。以前にプログラマーだった頃に、楽しくて2ヶ月で何万行のプログラム(そういうカウントは古い感覚ですね。きっと)を書いた時も、アイデアがたくさん出てきてプログラムにバグもほとんどありませんでした。また天体画像処理でケンタウルスAのジェットを仕上げた時も、100時間くらい画像処理に時間をかけました。その時も新しいプロセスを開発でき、良い結果にもなりました。そういうノリに乗っているときは良さそうです。けれど「ひたすら仕事をこなす」モードになると、やっぱり良い仕事ができなくなる。
「ワークライフバランスを捨てる」コメントによるもやもやは、自分に向けられたものだったようです。

2025年10月6日
アストロライフ合同会社 代表
丹羽雅彦