未分類

英語のYes, No表現 – いつも逆というわけではない

中学校で英語を習った時に「否定の疑問文で、日本語と英語でYes/Noが逆になる場合がある」ということに驚いた記憶があります。たとえば日本語で「これは好きではないのですか」と聞かれて「はい」と答えると「好きではない」ことになります。一方で英語で、 “Don’t you like this?”と聞かれて”Yes”と答えると、”Yes, I like it.”で「好き」という反対の意味になります。

私がいまだに読んでいる漫画のバリバリ伝説で、こんなシーンがあります。

 「もうこのマシンではもう勝てないと思うか?」
 「答えはYesだ」

文脈的に「もう勝てない」の意味ですが「Yesだと勝てるって意味になるよなあ」とずっと思っていました。

これは文化的側面が大きく、日本語では相手の感情や想いをくみ取ろうとするので同意を示して「はい」と答える一方、英語話者は自分の主張を中心に論理を展開するので”No”となると理解しています。しかし10数年ほど前に私にとって驚きの会話があったのです。

日本と同じ感覚のYes

ロンドンから来日したばかりの英語のネイティブスピーカーの同僚と営業に行ったときのことです。提案が箸にも棒にもかからなかった帰り道、傷心した私がこう言いました。

 ”There are not any opportunities…”

すると同僚はやっぱり凹んだおもむきでこう答えます。

 ”Yes…”

「あれ?Yesって言った?てことは、まだチャンスがあると思っているのかな?」と思って聞き返すと、「いや違う。”Yes, there are no opportunities.”ってことだ」と英語でおっしゃる。やっぱりチャンスがないという意味でした。「私の中学校の英語の先生は、相手が肯定でも否定でも自分の立場で肯定ならYes、否定ならNoって言っていたぞ」と食い下がると

「丹羽さんの意見にagreeだからYesじゃないか」
「じゃあ、イギリス人のあなたにAren’t you American?”って聞いたら?」
「丹羽さんは私がロンドンから来たことを知った上で確認のために聞いているから、”Yes, I am not American.”」
「じゃあご飯を食べたいから、”Why don’t you go for dinner with me tonight?は?」
「それはお誘いだからYes。」

「相手の話すことをダイレクトにとらえるのではなく、相手のImplicationつまり意図をとらえて会話を繋げるのが、教養ある大人のすることじゃないか」とまでおっしゃる。これって日本語の感覚に近くて、私が習った英語とは逆です。ちなみにその同僚は50年イギリスに住んでいる生粋のイギリス人。今回が初来日で、日本人との会話もあまりしたことがなかったはずです。だから畳化(たたみ化。外国人が日本に慣れちゃうことを指す言葉)した訳ではありません。

気になって英語ネイティブな国のサイトを探しまくりましたが、あまり情報はありませんでした。どこかのフォーラムで「ネイティブでも混乱するから、”Yes”ではなくて”Yes, I do”のように言った方が良いよ」というコメントを見つけることはできましたが、はっきりしたことはわかりません。

そのまま10数年、この問題を放置していたのですが、先週、イギリス人の若者と話す機会があって、このことを聞いてみました。

同意はYesを使いたい

上述の英語での営業の帰り道を説明して、あなたならYesかNoかどっち?と尋ねると、しばらく沈黙したのち

 「あ、Yesって答えるね」

とのこと。彼に聞いてみるとやはり「私の意見に同意する」というシチュエーションの場合は”Yes”と使うそうです。でもしばらく考えていたので、あらためて聞くと自然にはどちらを使うかわからなかったかもしれません。もう少し踏み込んで、”Yes, there are not any opportunities?”って正しい表現なのかと聞きました。中学校なら間違いなく不正解となる回答です。だって、Yesの後に否定文がくるのです。でも、これもやっぱりシチュエーションによっては使うそうです。

また目の前にある食事があまり好きではないときに、日本語では「この食事は好きではありませんか」と気かれたら「はい。すきではありません」となります。しかし彼の話では、”Don’t you like this food?”と気かれたら、ナチュラルに”No”と答えるそうで、そのときは日本語と英語のYes/Noが逆転します。つまりおなじ否定形で聞かれた場合でも、相手への同意が主体なら日本語も英語もYes、自分の意見を言う場合は英語ではNoとなるようです。とはいえ、ノンネイティブな日本人にはハードルが高いので、今回の場合はこんな風に答えるのが正解だと私は思います。

 ”Yes…(ため息ついて一呼吸おいて) There are no opportunities.”

一呼吸置くのは、Yesの後に否定表現をするとややこしくなるから、少し間をおいて分けるためです。

結局、言葉は生き物。状況で違ってくるのですね。冒頭のバリバリ伝説の「答えはYesだ」も”The answer is Yes”と強く言えば、”Exactly”のような感じで「同意のYes」になりそうです。また今回の例は二人ともイギリス人だから、という文化背景もあるかもしれません。アメリカ人、インド人、フィリピン人などネイティブな英語話者と会話できる機会があれば、聞いてみようと思います・・・と新幹線の中でこのコラムを書いていて、ここで終わりにしようとしたところで・・・「いた!フィリピン生まれの人!」これから行く職場でフィリピン人の同僚がいます。

早速、聞いてみました。フィリピン人の彼の話では、意見を求められた時のYesは、”Yes, it is a good opportunity.”となって「そんなことないよ。チャンスはあるよ」になるけれど、今回の場合のように傷心した感じで同意を求められたら、”Yes, I think there are not opportunities.”と「私もそう思う・・・ノーチャンスだね」という感じになるだろうとのことでした。だから文脈によってYesの意味が変わるとのことでした。私が「英語は難しいなあ」と言うと、「日本語の『大丈夫』の方がよっぽど難しい」っていわれました。確かに「大丈夫」は「問題ない」以外にも「心配しないでください」「OKです」「不要です」とめっちゃ用途が広いです(笑)

2026年5月18日
アストロライフ合同会社 代表
丹羽雅彦

TOP