先週末、妻とYouTubeを見ていた時のこと。
妻 「この人の本を買ったよ。」
私 「あれ、この人はペラペラとしゃべりすぎって、言ってなかったっけ?」
妻 「うん、しゃべりすぎだね」
私 「じゃあ、どうして本を買ったの?」
妻 「どうして、一つがダメだと全ダメになるの?」
私 「あ・・・」
同質化されたチームは弱く、多様性のあるチームづくりの重要性を私はかねてから話していました(ただし心理的安全性が担保されているという前提付きです。「参考 多様性が高ければ良いわけではない 〜 心理的安全性が与える影響」)たとえば、私はどちらかというとリスクに感度が低く「やっちゃえ」と前に進めてしまいがちです。それはそれで何かやるにはよいですが、大失敗も多くなります。そんなとき、ちょっと不安症な人がチームにいると誰よりも早くリスクをセンシングしてくれるので、とても心強い。いろんな価値観、いろんな強み弱みがある人が集まるチームが強いわけです。
一方で人は他人を一軸で評価しがちです。人材採用の際に「優秀だから」と採用したり、人事評価で「あいつはデキる」との理由で昇進させたりなど。それはプロ野球のスカウトが「彼は運動神経が良いから」と選手を獲得するようなもの。そうではなく「誰よりもコントロールが良い」「足が速い」「肩が強い」「長打力がある」など、球団として補強したいポイントを明確にして選手と契約しますよね。好走守、全部揃った大谷翔平みたいな選手はまずいません。いたとしても獲得に1000億円かかっちゃいます。「あいつはデキる」というのは、重要視した要素を明確にせず、無意識に自分が誇りに思っているひとつの能力のみで他者を評価しているのです。人材採用の際には、一つがよく見えると全部よく見えてしまう「ハロー効果」の問題点も指摘されています。ハローとは強い光源をカメラで撮影した時に、光源の周りにできる後光のような光の輪のことです。
そんなことを熟知していると思っていた私が、知らず知らずのうちに一軸で人を見ていたわけです。かなりショックでした。
ユニディメンジョナル パーソンが組織を衰退させる
当事者研究のパートナーである熊谷晋一郎先生は、一軸評価をするUnidimensional Personによって組織が劣化していくことを指摘しています。こんな話です。
成功したリーダーは「自分が高い評価となる能力」に誇りを持ちます。自分が高い評価になるような単一の物差しだけで自他を評価しがちになり、自分にはない多様な能力をもつ他者を過小評価するようになります。その結果、自分と似た、しかし単一の物差しで自分より少し劣った人の評価が最大化しやすくなり、チームのパフォーマンスが低減していくと言われています。リーダーはいかに、自分が低評価になる物差しも含めた多様な物差しをポケットに入れ、多様な能力を正確に評価できるようになるかが重要になります。
自分と同じ資質を重視する一方で、その能力において自分より優れた人が登場すると自分自身が危機に陥るわけです。そのため「自分と似ていて少し劣った人」を登用してしまうようです。これが長年繰り返されていくと、組織が劣化し衰退していくのですね。そうならないためには「能力の多元化」が求められます。
私がコンサルティングファームで働いていた時も「あの人は紙が書けない(資料が作れない)」という言葉が飛び交っていました。クライアントへの報告書は思い入れもあり多大な労力を投入するので、とくに重要視するのでしょう。しかし「紙が書ける」というのは、コンサルティングにおける能力の一つにすぎません。分析力、ソリューション構築力、交渉力、他にもたくさん求められる能力はあります。そういった多次元の能力評価によって人材を登用し、組織を強くしていく必要があるのです。
ちなみに本人も気がつかないうちに一軸評価する人をHidden Unidimensional Personと呼びます。あー、まさに私でしたー(涙)

2026年3月23日
アストロライフ合同会社 代表
丹羽雅彦