突然に舞い込んできたPHP脆弱性に関する問題。あちこちで大騒ぎになる1日でした。私もアストロライフ社のホームページや、天体写真のブログをPHPで構築していますので、対応に深夜まで追われました。実際にはできることは少なく、情報収集を続けていたのが実態です。
そんななか、びっくりする発表が高市首相からありました。PHP脆弱性への対応への呼びかけです。
PHPに2件の脆弱性があること、修正パッチを適用する必要があること、すぐに対応できない場合はWebサイトを停止することも有効であること、などが発表されました。こういったITセキュリティ関連で、首相が直接コメントしたのは初めてではないでしょうか。私はこれをみた時、驚くとともに、
「なに言ってんねん」
とツッコミを入れたくなりました。だって今回の件は、IT担当者は誰でも知っている話だし、その時点で知らない人はPHP対応に関係のない人。関係ない人を巻き込んで無駄に騒ぎを大きくするだけじゃん、と思ったのです。でも、事態が進むにつれて、それは私の浅はかな考えだとわかってきたのです。
現場の不安をトップが一掃する
この高市投稿に関して、多くの現場の反応は「助かる!」でした。この問題が発生していたとき、わかっていたのは脆弱性評価(CVCC)が9点台という、最高危険度の問題が2個見つかったこと。もう一つは緊急で修正バージョンがリリースされるということです。修正バージョンがリリースされると問題も特定されるので、ハッカーの攻撃が一気に始まります。しかし現場エンジニアとしては、影響範囲の検証が必要だったり、適用後のテストが必要だったり、修正バージョンを適用するのは時間がかかる。さらには焦ってやるとミスも起きる。だからWebサイトを停止するというのは合理的な判断になります。
問題はそれをどうやって伝えるか。Webサーバを止めることはビジネスに大きな影響を与えるので、経営判断になります。多くの場合は社長判断。現場から報告をうけたIT部門のトップが思うのは、
(なんて伝えよう。問題が2個あります。何がおきるか今はわかりません。会社のホームページを止めさせてください・・・そんなの言えるわけないじゃん)
経営陣としては「PHPに深刻な問題が起きました」と言われても「それって技術の話でしょ」とピンとこず「しっかり調査してから持ってこい!」とか言ってしまいそうです。またITエンジニアは日頃から論理性、合理性を追求する人たちなので、こういったまだ問題の全体像が見えない曖昧な段階で、状況を説明することはあまり上手でない人が多いように感じます。「顧客名簿が漏れました」ならば重大性を伝えられますが「CVCC 9.2の問題が2件。詳細は不明」では、どう伝えたら良いかわからない。
そこに高市首相の号砲です。
「高市さんもWebサイト止めろって言ってます!」
一国のトップが言っているのです。なんて気が楽になるのでしょう!また経営陣だけではなく、会社のWebサイトで影響を受ける営業部門、サービス部門への理解も得やすくなります。
「IT部門は何をやっているんだ!」
という声から
「IT部門、大変だね。がんばれ!」
という声に変わった職場が多かったのではないでしょうか。
会社は役割が分散しており、責任範囲も多岐に分かれます。こういうときに迅速な対応がしにくい。そこに作業に関する不安を低めて、社会のリスクを下げた今回の高市首相の発表は「あっぱれ」と称賛されるべきだと思います。
トップの役割の一つを見た気がしました。

2026年10月23日
アストロライフ合同会社 代表
丹羽雅彦